反戦団体がノーベル平和賞を猛批判!?受賞者マチャド氏の「闇」

マチャド氏受賞の発表 ノーベル委員会公式サイトより
今年のノーベル平和賞は、南米ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏に授与されると今月10日、ノーベル委員会が発表しました。ベネズエラでは2013年から続くマドゥロ政権と野党との対立が続き、選挙不正の疑惑等をめぐるデモ隊と治安部隊の死衝突や野党関係者への弾圧、経済の低迷等が深刻です。マチャド氏について、ノーベル委員会は「勇敢な自由の擁護者」と称えましたが、一部の反戦団体や中東系メディアはマチャド氏への平和賞授与に批判的であるなど、賛否が大きく分れています。そこにはトランプ政権の動向やマチャド氏の政治的なスタンス、さらには長年の米国とベネズエラの確執があり、手放しでマチャド氏の受賞を賞賛できない様々な理由があるのです。
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〇米反戦団体が猛批判
政権に批判的な人々への暗殺や恣意的な拘禁、拷問などの弾圧が続くベネズエラにおいて、「独裁政権から民主主義への平和的移行」を求め活動してきたマチャド氏は、一見、ノーベル平和賞に相応しいようにも思えます。しかし、米国の女性達による反戦団体「コード・ピンク」のラテンアメリカ地域キャンペーンコーディネーターであり、ベネズエラ出身のミシェル・エラーナー氏は、「マチャドのような右翼がノーベル賞を受賞したら、『平和』は意味を失ってしまう」と題した論考を発表。米国の独立系ニュースサイト「コモンドリーム」が掲載し、その他、左派系のウェブサイトやSNS等に転載されています。
上述の論考の中でエラーナー氏は、「ベネズエラ系アメリカ人として、私はマチャドが何を象徴しているかを正確に知っている。それは、ワシントンの政権転覆工作組織の笑顔であり、民主主義を装った制裁、民営化、外国介入の洗練されたスポークスマンである」とマチャド氏を手厳しく批判。さらに、
「マチャドは、民主的に選出された大統領を一時的に打倒した2002年のクーデターを主導し、憲法を抹消して全ての公的機関を一夜にして解散させたカルモナ法令に署名した」
「マチャドは政権交代を正当化するために米国政府と手を組んでおり、自らの立場を利用して、武力でベネズエラを『解放』するための外国軍の介入を要求した。彼女はトランプ大統領の侵略の脅しとカリブ海への海軍派遣を歓迎した。これは『麻薬密売対策』を口実に地域紛争を巻き起こす危険性のある武力誇示だった」
「マチャドは、貧困者、病人、労働者階級が誰にその代償を払うことになるかを正確に知りながら、経済を締め付ける米国の制裁を推進した」
等として、「彼女は平和や進歩の象徴ではない」と断じています。

CODEPINK's Latin America campaigner Michelle Ellner explains the problem with this year's Nobel Peace Prize.
Read her full article at codepink.org/machadonobel
このエラーナー氏が所属するコード・ピンクは、これまでも米国の戦争を厳しく批判してきた一方で、ウクライナ進攻に対してはロシア寄りのスタンスが目立つ等、米国の市民社会の中でも賛否のある団体であることは考慮する必要はあるのかもしれません。ただ、マチャド氏が米国にとって非常に都合のよい人物であることは事実でしょう。
〇マチャド氏は米国に都合のよい存在?
今回の論争を理解するには、ベネズエラと米国との確執を見ておく必要があり、端的に言えば、米国はベネズエラを経済的な植民地のような扱いをしてきたのですが、その後、ベネズエラの政権が反米的となったので、同国に対し様々な圧力を加え続けてきたという背景があります。
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