「髙市ハラスメント」―女性達に「喜べ」と強要する醜悪さ/暴力性
首相官邸ウェブサイトから
日本初の女性首相として髙市早苗氏が就任したことは、歴史的な出来事として評価される一方で、多くの女性達からは「彼女は私たちを代表していない」「素直に喜べない」といった声が上がっています。そして、こうした複雑な思いを抱える女性達に対し、主に保守層(特に男性達から)から「女性首相の誕生を喜べないフェミニストはおかしい」と揶揄する動きが見られます。しかし、女性達が求めるのは、性差別や抑圧的な構造に立ち向かう政治家です。女性であっても、旧来の男性中心の価値観を支持する政治家が首相になっても喜べないのは当然です。むしろ、「喜べ」と強要することは、女性の声を無視するハラスメント、いわば「髙市ハラスメント」に他なりません。
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〇髙市氏の政治姿勢と女性の懸念 憲法24条見直し
憲法24条の見直すという自民党の改憲案に髙市首相は賛成し支持してきました。現行の24条は、個人の尊厳と男女平等に基づく婚姻の自由を定めており、これは戦前の家父長制度を否定し、女性が1人の個人として尊重されるようになったものです。それに対し、自民党の改憲案は「家族や共同体、国家への奉仕」を優先する理念を掲げています。
こうした国家による家庭への介入は、介護等、家庭内である女性達の過度な負担を制度的に固定化し、憲法の理念である「個人の尊厳」を後退させる恐れがあります。また、国家が家庭の倫理を規定する構造への回帰は、女性の自由をさらに制約する危険があります。
〇在日米軍による性暴力と地位協定の問題
髙市首相は、石破前首相と異なり総裁選で在日米軍基地の地位協定見直しには言及しませでした。沖縄をはじめとする日本各地で毎年のように米兵等の在日米軍関係者による性暴力が繰り返されているにもかかわらず、地位協定により日本側が加害者の身柄を起訴まで拘束できない構造が問題となっています。刑事捜査や裁判が制約され、被害者の訴えがあっても不起訴や加害者の米側送還による事実上の不処罰が続いています。こうした問題は、2024年10月の国連女性差別撤廃委員会でも、日本政府への改善勧告の対象となりました。
沖縄の女性団体「フェミブリッジ沖縄」は、2024年12月に開催された米兵による少女暴行事件に抗議する県民大会をきっかけに、日米地位協定の改定などを求める署名活動を行っており、5万4000筆の署名と共に要請書を近く政府に提出する予定だとのことです。
髙市首相がこの問題に積極的に取り組む姿勢を示さないことは、被害を受けた女性達、日々恐怖を感じている女性達の声を軽視するものと言えます。
2024年に開始された被害者のケアや地位協定の改定を求めるオンライン署名が、10月30日、国会に届けられます。
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〇選択的夫婦別姓への後ろ向きな姿勢
国連女性差別撤廃委員会は、結婚時に同姓を強制する日本の法制度も問題視し、選択的夫婦別姓の必要性を指摘しています。日本女性の9割以上が結婚時に姓の変更を強いられ、手続きの負担や精神的苦痛を強いられてるにもかかわらず、髙市首相は選択的夫婦別姓に後ろ向きな姿勢を示しており、女性の自己決定権を軽視する立場を取っています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1761759
〇トランプに媚びる姿にゲンナリ
来日した米国のトランプ大統領に対する髙市首相の「はしゃぎぶり」も少なくない女性達にとってショックだったようです。髙市首相はトランプ大統領に腕組みしたり、傍らでぴょんぴょん跳ねたりと、正に「媚びへつらう」という言葉のイメージそのものでした。これに対し、SNSでは
「若い女性の皆さん、高市総理や片山大臣の動画を見て、女性はこういうものだと思わないでくださいね。これは女性リーダーとして恥ずかしい行動です」
「日本のトップに立った女性でさえも、男に気に入られる仕草をしなければならないという男社会の現実を見せつけられた」
「トランプが手気持ち悪く触ってんのにニコニコしているの、完全にセクシャルハラスメントとそれに笑顔で返す女性で、その在り方をこの時代に首相から見せつけられるの辛すぎるだろ」
等と嘆く声が上がっていました。外交上、トランプ大統領との関係性を構築する必要性はあるのでしょうが、それにしても髙市首相の立ち振る舞いは、まるで自分が好きなアイドルと会ったファンクラブの女性のようで、実際にそうならともかく、一国の首相としての威厳と品位のある立ち振る舞いとは到底言えず、日本という国自体に「軽い」「安い」という様な印象を国際社会に広めるものでした。
〇「喜べ」と強要するのは女性達へのハラスメント
髙市氏の政治姿勢やその言動は、女性達ではなく、旧来の男性中心の国家観やジェンダー観に基づく自民党の路線に寄り添ったものです。家族への義務の押し付け、在日米軍による性暴力問題への無関心、選択的夫婦別姓への後ろ向きな態度、トランプ大統領といった権力者に媚びへつらう姿勢は、女性の現実や願いを反映していません。それにもかかわらず、保守層の一部、特に男性から「女性首相が誕生したのだから喜べ」と強要されることは、女性の主体的な声を抑圧するハラスメントであり、真のジェンダー平等とは程遠いものです。
こうした言動が保守的な男性たちの愉悦を持って発せられていることは、女性の声を抑圧し、差別的な構造を温存する醜悪な行為と言わざるを得ません。極めて悪質であり、暴力的ですらあります。そうした「髙市ハラスメント」は慎むべきです。また、髙市氏の就任を機に、真に女性達が直面する問題に向き合う政治とは何か、改めて問い直す必要があるでしょう。
(了)
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